CARNIVAL -前代未聞-

ムービーに関しては当日記で幾度と無く取り上げていたSMLのcarnival。やっとプレーすることができました。久しぶりにまじめに感想を書こう。
小説版は未読。そろそろ来るかな?

概要

シナリオは3部。学編、武編、理紗編といったとことでしょうか?基本的に同じ時間軸を三人の視点で繰り返す構成となっています。プレー時間はおそらく5~6時間かそれ以下。結構あっさり。

感想

話自体は非常にシンプルにまとめられていた。プレーするにつれて真相が分かっていくというどちらかというとオーソドックスな形。
ライターに関する事前情報?である程度どのような話を書くかは分かっていたもののここまで暗い話を書く人だったとは・・・でも不思議とあっさりした感じも受ける。ドロドロした暗さではない。理紗編での父親の書き方が象徴的。
しかし泉、理紗、学以外は本当に脇役だなあ。出てくる意味が分からない。ここまで無駄をそぎ落としたシナリオなのにどうしたんだか。複数ヒロインというエロゲの逆制約に勝てなかったのか。詠美とかもっと話に絡むと思ってたのに。警察官は完全に意味不明。
紹介では人を信じることの難しさを〜ということになっていたけど、どちらかというとああ、人ってどうやっても幸せになれないんだねという感想を持った。
救えない作品だ。本当に。


泉エンド
学は理紗を捨て、泉は自分の日常を捨て、二人で逃避行の旅に出る。どうなるかは分からないものの旅先で一発当てたり、ちょっとした稼ぎ道を見つけてみたり。
このあたりを読みながら、自分たちが高校三年のセンター3日前ぐらいにやけくそになって徹夜でカラオケに行った事を思い出した。無理やりテンションを上げて目の前の現実を忘れようとするこの感じ。金色夜叉ごっこが痛々しすぎる。
ラストシーンの泉と学の会話は凄く好き。暗いけど爽やか。本編は理紗ルートなんだろうけどこっちの方が好みかなあ。

「じゃあそれで。ロックンロールで生きていこうよ」


理紗エンド
めでたしめでたし。なのか?
真相は明らかになったものの、結局理沙は何も解決していないように思える。小説読んでからかな。

とても怖いけれど、とても幸せです


バッドエンド
何も無い。やるだけ、死ぬだけ。あっさりしすぎで鬱にもならない。


ムービーとのかかわり

ここまで印象が違うともはや責める気にもならない。あれだけのものを作ってしまっているだけに。ギャップ萌えですか?
ムービーだけで想像したのは登場6人+学がなんか色々ありつつも最後は皆でお祭に出てまあ頑張って生きていきましょうや。みたいな終わり方だったのに
やり終えてから改めて見ると、なるほどと思いましたけど。ますます好きになった。
参考
carnival 歌詞 - sixtysevenの日記
http://blog.goo.ne.jp/kuruisou/e/325fd3455aafaa380ff249065fd79484

瀬戸口廉也

ここまでダークなテキストを書くライターは始めてみた。そういうテーマの作品だからという以上のものを感じる。理沙の過去、学の思考、エロシーンのテキスト、全てにおいて悲壮感と無機質さと冷たさに溢れている。どちらかというと軽い、冗談を言い合っているようなシーンでも何か暗いものが消えない。独特の文学ネタ、宗教ネタとか

 「それはモミジ」
 「わかってるよ。カエデ科カエデ属いろはもみじ。赤くなるのはアントシアニンのせい」
 「風情も何も無い説明ありがとうございます」

こういうネタのせいか。ブルーベリーの話*1といい、アントシアニン*2に騙されたことでもあるのか?この記事をはじめとしてどの日記を読んでもやっぱりなんか切なくなる。
自分は物書きをする人はどんなに絶望的な話ばかり書いていても、心の奥ではやっぱり「心温まる物語を書きたい」んだと思ってる。OVERDRIVEからの新作では明るい学園モノを出すそうですがどんな話になるんでしょうか。とても興味がある。


しかしなんてライターだ。

参考
2007-04-02

総括

正直オススメできない。あまりにもテキストが特徴的だし、それに加えて登場人物も癖のある人ばかり。
しかしプレー時間も短く、ダウンロード販売で安く、簡単に手に入るため、瀬戸口廉也入門書?としては最適なのではないでしょうか。最近何かと話題のSWANSONGが手に入らないけど是非一度、同じライターの作品を読んでみたいという方は購入して損は無いと思います。個人的には何も言わず、一回やってみて欲しい。

*1:http://blog.livedoor.jp/setoguchi1/archives/51025496.html

*2:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%88%E3%82%B7%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%B3流石にそこまでは考えてないかもしれないけどこの二つの単語からは疑似科学しか思い浮かばない自分。