AURA 〜魔竜院光牙最後の闘い〜レビュー

AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫)

AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~ (ガガガ文庫)


そりゃあもう酷いネタばれをします。
ユメミルクスリとかいう訳の分からんエロゲのネタばれもします。
なるべく抑えますけどOKという方だけどうぞ。どうせたいした内容じゃありません。



いつものロミオさん

発表から発売までえらく間隔が短かった本作ですがボリュームもたっぷり。
このペースでロミオ作品が読めるなんて数年前を考えると夢のようです。2年に一回ぐらいを覚悟していたのが最近は2ヶ月に一回ですからね。やっぱりコンスタントに読めるほうが嬉しい。
文章のクオリティ、ネタの積み込み具合も相変わらず。キャラクターも隅々まで魅力的でした。妄想戦士の皆様の痛さがもうね。
信者的には不満は処女ネタと生理ネタが無かったことだけです。いや、ラノベでやったら本当に名誉社会人になりそうだけど。
イラストも売れ線っぽい人に書いてもらっていていい感じ。人類は衰退しましたのほうはどちらかというと個性を前面に出している絵師さんを使った印象だけどこちらは学園ものにふさわしく、本棚に並べても見栄えのする普通のライトノベルって感じ。いい感じの青春もの学園ライトノベルに仕上がっていると思います。ラノベ関連の大手レビューサイトでも評判はいいようですしまたマジカルベンツに一歩近づいたのでは。
後は作者紹介にPCゲームを中心に活動するフリーライターって書いてくれてるのが少し嬉しかったり。お、おく、おく、オクルまだぁー・・・・


ユメミルクスリとの関連性*1

完全に俺様理論ですが本作はかつて田中ロミオ氏が"監修"したエロゲ、ユメミルクスリ、特にねこ子ルートを強烈に意識して書いているのではないかと思います。
良子の一般人からの浮き方とか、クラスの女王的存在にいじめられている様とか、ラストシーンの別世界に旅立とうとする場面とか。
あえか+ねこ子といった感じ。ずいぶん欲張るなあと。
考えすぎかもしれないけどロミオ氏は企画に深くかかわっていながらユメミルクスリは消化不良だったという思いを持っていたのではないでしょうか?
そこで新しく移ったフィールドで好調なイマ、もう一度2008年版ユメミルクスリとして、現在続けているシリーズとはまったく独立した一作としてこの作品を出したのではないでしょうか?
憶測ですがそう感じざるを得ないような類似性が描写のディテールだとか、話の流れや構造に見えて仕方がありません

2005年、2008年

とはいえ、まったく違うところもありました。
大きいのは周囲の状況です。ユメミルクスリではねこ子としてイタい一連の行動自体は主人公含め、誰も理解、共感をすることは無かったと思う。
しかし本作では良子と似たような中二秒患者がクラスの半分を占め、更にラストシーンでは

笑ってしまう。なんだよ。なんだよ。みんなけっこうイタかったかったんじゃないか

と主人公が言うほど周りも実はイタかったということが書かれています。
なんとなーく3年前とイタいオタクが増えているという現代の周囲の状況を反映してこの辺を書いてるんじゃないかと思えて仕方がありません。


そしてラストシーン。ユメミルクスリでは何故かねこ子ルートのみにグッドエンドとバッドエンドが用意されていました。妖精郷へ行くか行かないかです。
一方本作では良子は元の世界に帰還せず、主人公の過去に触れ、変化を知り、最後は中二病を脱して「普通のやり方、教えて」。
元の世界に旅立ってしまうラストシーンを書いても別に良かったのではないでしょうか?何故あえてあんな日和った結末を?
ある意味で非常にリアルな話をここまで書いていて、あの場面から元の世界に帰還しちゃったらラノベにあるまじきバッドエンドになりますけどね。
ここまで書いてなんですが、実際は話はもっと単純なのではという気もしてます。何が言いたいかはあえて書かない。


これ以外にも色々と比べるとロミオさんの思想というか、ユメミルクスリから3年経ったイマの世の中に対する見方の違いが、類似しているように見える2作品の異なった主人公、異なった状況、異なった結末を書いたのではないでしょうか。
2008年版、ユメミルクスリがこの作品だったのではないかと思います。


最後に

考察をつらつらと書きました。
が、自分はこうした考察記事を書くことあまり好きではありません。
今日ここまで書いたことは全て推測による根拠の無い話です。
最近のロミオ氏の執筆ペースを考えたら、ただのシナリオの流用でそこまで考えてねーよwwwwというのが本当のところかもしれないし。
しかしながら今回は、ライトノベルという形で出され、レビューも主にラノベ畑の方が多く書かれている中でユメミルクスリという作品を知って頂きたい、または思い出していただきたい、そして二作の関連性と田中ロミオという作家について皆でもっと考えてみたいという思いでこのエントリを書かせていただきました。信者なめんな。


ま、適当です。


おまけ
挿絵担当mebae氏のpixiv
「mebae」のプロフィール - pixiv


気になったレビュー
2008-07-26
全ての中二病患者へ捧ぐ――『AURA 〜魔竜院光牙最後の戦い〜』 - やや最果てのブログ

*1:少し前まではミルクスはほぼ関係なかったと思ってましたが最近の某氏の発言で準ロミオ作品と認識するようになりました