それでもきっとageが好き

 それは結局、パッケージとしての統一感のなさということに尽きると思うんです。例によってぼくは『君望』一作のことしか語れないわけですけれど、とにかくこの作品にはパッケージとしての「余剰」が多すぎる。

 具体的にいえば、茜と遥の二股で終わる結末や、愛美に監禁されて終わる結末はいったい何のためにあるのかということですね。

 この展開は作品の本筋とはまったく関係ないわけで、削っても何の問題もない。これはもう、ユーザーをいやな気分にさせるためだけにあるとしか思えない。

 べつにきれいごとの純愛ものにしろといっているわけじゃなくて、作品全体を見たときにそのエピソードを組み込む必然性があるならば、どんな展開を用いてもらってもかまわない。でも、ぼくにはその必然性は感じられないですね。
何でそんなにアージュが嫌いなのか? - Something Orange

ひとつの物語において必然性とは具体的にどのような展開?作品全体を見たときの作品ってどの範囲?君が望む永遠の主人公は茜でも遥でもなく、ましてや水月でもなく、エロゲ界最悪のヘタレ。鳴海孝之大先生です。

これは、物語の土台が、一貫性を持った思想で貫かれているからこそ起きる感情であって、、、、分岐の分まで、生理的に嫌悪も快楽すべて描いてしまっている「きみのぞ」の脚本構造ではありえない感情だと思う。本当は


ほとんど分岐はいらないのだと思う。


水月と遥だけで十分だと思うよ。


その可能性をすべて描いてしまうところに、品のなさというか、、、そういう部分を感じてしまうというのは理解できる。
アージュは何でそんなに嫌われるのか?② | 旧館:物語三昧~できればより深く物語を楽しむために

その品の無さこそエロゲーなんだよ(AAry。一貫した思想を持つのは物語の土台ではなく各ヒロインごとの個別ルートであってもよいのでは?もちろん一貫した思想をもってもよいし持たなくてもよい。と言ってしまうと元も子もないか・・・


ageを批判している方々にはschooldaysをオススメしたい。君のぞが批判されている要素を濃縮し、かき混ぜ、さらに2Gのパッチを当てたものがschooldays*1です。

物語愛好者にとっては、「本筋」を入れ物として扱うようなageのというか『君のぞ』の作風が我慢ができない。まあ、「その可能性をすべて描いてしまう」品のなさが小説的というか百科全書的というかそういう欲望というか快楽なんだと私なんかは思うわけですね。それは別にageが単に節操がないとかそういう話ではなくて、ペトロニウス氏風に言うと、ageの「思想」は一貫性というよりもバフチン的な多声性というか、雑多な物語を生成する場所を提示するというところにあるのです。さらにアレな話をすれば、そのような猥雑さの快楽というのは、最近のエロゲ界隈においては凌辱ゲー以外にはageぐらいにしか存在しないという摩訶不思議な状況が「気持ち悪い」というか勘弁してほしいというのが私の正直なところ。むしろ、そのようなエロゲ界隈の状況の偏りというか傾向がageの作品を「気持ち悪」くしているのではないかと。
http://bmp69.net/mt/archives/2007/05/age_1.html

まぁ、ここらへんの「なんでも詰め込んじゃえ!」な辺りが非常にアージュらしいと言えば、それらしいですね。詰め込めばいいってもんじゃないと思う(笑)。「君が望む永遠」のファンディスクにしてもそう思う。もしもヒロインの涼宮遙が事故に逢わなかったら?というifストーリーが入っているのだけど、ここら辺の、消費者が望めば折れてしまう辺りはどうにかならないのか。セイバーシナリオのグッドエンディングは絶対作らないと言っている、TYPE-MOON奈須きのことはまるで正反対(笑)。今夏発売されようとしているマブラヴオルタネイティヴのファンディスクも、ユーザーの要望によるものですし。

だ、そういう気持ち悪さを肯定した故の美しさというような、アンビバレンツな物語にアージュはしようとしているんじゃないかなぁと、僕は思う。そういう意味じゃ、鍵作品とそんなに変わらないと思うんだけど。ちょっと言いすぎな気もするけど、そこは信者補正で!(笑)。
http://d.hatena.ne.jp/hasidream/20070528/1180367336

ageのシナリオってどれも『究極の選択』をさせるようになってるんですよね。それは君がいた季節からマブラヴまで一貫してる。結局の所、age作品の一貫したテーマは「選択することと、その選択の責任を負うことの大切さ」なのではないかと思います。だからageにとっては修羅場(君望)も戦争(オルタ)も、主人公に選択せざるを得ない状況を作る為の舞台装置であってテーマではない、と私は思いますね。
君望において余分だと指摘されがちなマナマナやファミレス組のシナリオですが、アレも「(遙と水月から)逃げる」という選択を(age側が)認めた上で、その結末を描いた物だとインタビューで語っていたのを見た覚えがあります(ソースは失念)。
結局の所、age作品のテーマというのは下の言葉に集約されているのではないでしょうか。

「ひとつを消すのではなくて、ひとつを選びなさい」(君望・香月モトコ)
Something Orange -  何でそんなにアージュが嫌いなのか?コメント 儀狄様

アージュ嫌いを許してくれ - 敷居の部屋
より。何かと話題のage。印象に残った部分を抜粋してみた。
君が望む永遠泣きゲーと呼ばれる作品群のなかでは飛びぬけてエロゲでありすぎる。だからたまたま浮き上がってきてしまったんでしょう。気持ち悪さ、品のなさ、一貫性の無さ。ageはきっと、エロゲメーカーで有り過ぎるんです。良くも悪くも全てを高次元で揃えている。
自分のような完全にエロゲに漬かった人間はこれらはすべてエロゲの特徴で片付けられます。気持ち悪さよりもインパクト。品の無さよりお約束の展開。一貫性の無さよりも物語の多様性。みたいな。結局解釈のちがいだから批判派?の皆様がいっていることもよくわかるってのもまた事実だったり。何なんでしょうね。age作品に共通するなんとも言えない読後感。どろどろした感触。先の見えない延期。
あとは・・・この間までラノベとエロゲの関係が云々の話をしておいてそんなこと言うのかといわれるのかもしれないけど・・・一貫性がどうこうという話では、やはり小説等で一貫した展開の中で、ひとつの世界にひとつの物語という読み物に慣れている人の拒否反応なのではないかという思いも持っています。読み物の中で話を選択するということに馴染めないとか?。趣向の問題であってもちろん優劣は無いんだけど。
なんかまとまらねーな。ギブギブ。



最後に。
自分がエロゲに求めているのは感情の上下なんだと思う。だから思いっきり上げたり落としたりしてくれるageは大好き。ということだけは言っておきたかった。長々と引用だらけの記事で申し訳ありませんでした。今回記事を引用させて頂いた方とは是非一度酒を交わしつつエロゲ談義をしてみたいものです。君のぞだけで一晩いけますね。こりゃ。書くのはやっぱり苦手だ。酒の席でなら全員age信者にしてやるぜ。では私は積みゲを崩す旅に戻ります。


18禁ゲームの潮流 -エロゲとビジュアルノベルと-

2007-05-27 - 裏方亭
ageの話にも繋がってくるんじゃなかろうか。是非ご一読を。

追記。っていうか参考URL追加

http://d.hatena.ne.jp/hasidream/20070601
age関連記事のまとめ。未読のものは後でゆっくりと

引用しよう・・・と思ったら前文になってしまいそう。

君が望む永遠」は、まさにインタフェース多重実装的な創作なんじゃないかな。つまり、物語の人工物性をむしろ強調する作品に思える。ライターの匙加減ひとつで、同じ設定からどうとでも展開を転がすことは出来るんだという、人工性、作為、虚構、物語の勝利を高らかに謳った作品なんじゃないのかなあ。複数ライター性だというのが生きてる。セルフ同人的。デタラメに折り重ねられた物語が立てるノイズを、そのままノイズとして楽しめばいいのではないか。物語的に一貫しない不整合を、その裏に物語に回収されないリアルを幻視することなく、単に一貫できないノイズの面白さを楽しむ鑑賞態度こそ、むしろ純粋じゃないか。
http://d.hatena.ne.jp/NaokiTakahashi/20070531

同意です。エロゲはノイズの載せやすさに関しては他の追従を許さないと思う。だからそれを楽しむのもありなんでないかい?ノイズの無いエロゲもそれはそれでいいと思うけど。

兎に角アリスの嫌なところって言うのは、生々しく現実に則ったやり口を現実から乖離した描写とゲーム性と豊富なラインナップで包み込んでしまっていて、ぱっと見では分かりにくくなっているんだよ。

大体グロがアリスの全てかと言えばそれは違う、と言っても何ら問題が無い、そもそもアリスは含有する要素が多すぎて本質を断言できない訳だし。

後に残るのは嫌な気分にさせられた、と言う感傷だけで、ちくしょー俺の香ちゃん返せよ、とか。
だから、本気で不思議なんだけど、何故矢面に立つのがアージュなのだろう?

やり口の陰惨さならアリスの方が上だと断言できるんだけど。
2007-06-02

島津兄弟のntrにはマジで切れましたね!ちくしょー俺の小松さん返せよ
アリスのソフトもやはりあまりに「エロゲ的」。だからこそ生き残っている気もする。結局はポルノであるという、最もエロゲの本質をつかんでるソフトを出し続けているブランドだと言えなくも無いんじゃないかと思いつつ。


age談義も一段落した様子。色々読んでたら久々に茜ルートがしたくなってきたぜ。

またまた追記

この話題が今週のid:kaienさんのところのチャットの話の中心になりそうな気がしたので参加したかったのですが各種事情によりそれが叶わなかったため,
失礼ながら後でログを読ませてもらいました。id:genesisさんが途中で指摘しておられましたが

genesis > しかも,作品論と作家論が混線しているし。 (22:57:26 2-Jun-2007)
genesis > どうも「好き」「嫌い」の指標だと,対立構造に流れてしまいますねぇ……。 (22:57:08 2-Jun-2007)

とか、一作でブランドを否定するのは云々とかいう話が中心になっていて*2最も聞きたかった気持ち悪さだとか品の悪さだとか、その辺の原因の本質的な話は出なかったようで残念。部屋に入りもせず偉そうなこと言ってすいません・・・・
参考
http://d.hatena.ne.jp/hasidream/20070603/1180850815
本音を全て書くと言いがかりになる - 敷居の部屋
チャットって難しいなあ

アージュは「ただの泣ける作品」なんて作ろうとしてなかったと思うし。『螺旋回廊』みたいな路線では食い続けられないと判断して、ああいう皮をかぶろうと思っただけでしょう。当時colorful pure girlのインタビューでそんなこと言ってなかったっけか。

「セイバーシナリオのグッドエンディングは絶対作らない」という奈須きのこの態度のほうが、よっぽどポルノ作家らしくない。いや、まあ、TYPE-MOONはたまたまエロゲー市場で商売してるだけの会社で、ポルノゲーム会社じゃないんだけどさ。

お前、遥エンドで泣いたっていったくせに、遥と茜の二股とか許せるわけ? 蛇足でしょ? と問われれば、確かに感動作品としては余計ですが、複数のルートで違う味がするのはちっとも悪いことじゃない、と思うんですよ。美しい光景に感動しつつ、同時にその光景を無残にぶち壊したいのも人間の心でしょう。

アージュは「下品」と言われれば、それはまあそうなんです。でもプレイするエロゲーの比率が陵辱ゲームとそれ以外でほぼ半々のボクにしてみると、あの程度で嫌う理由は理解できない。そういう人は陵辱ゲームもほとんど遊ばない人なんだろうな、と思います。
さあ? エロゲーという娯楽の極点。嗜好性と物語のはざまで - アージュをめぐる話のついでに -

今回の議論、結局はエロゲ会社の作品とたまたまエロゲ市場で商売をしている会社の作品を同列に扱っているから起こることなのかも
そういえば皆さんエロゲといえばどんな作品をやってるんでしょう。やっぱりD.Cとかはやらないんだろうなあ。


この記事なげえ・・・分割したいけど一つのURLで全部見れたほうが便利な気もするしこのままいきます

*1:未見の方はyoutubeでラストシーンだけでもどうぞ。

*2:http://d.hatena.ne.jp/REV/20070603/p3ラーメンの話がしたかったのかage軒の話がしたかったのかよく分からなくなってきました・・・